リチウムイオンバッテリー技術の可能性の実現

施設清掃の世界では、厳しい予算と厳しいマージンで事業運営されています。たとえわずかな運用効率の向上でも、大幅な収益の節約と大きな競争上の優位性をもたらす可能性があります。施設管理者から設備工事業者に至るまで、この業界のベテランたちは、常に優位性をもたらす新しいツールやテクノロジーを模索しています。しかし、彼らは実証されていないテクノロジーでチャンスをつかむ余裕はないこと、そしてすぐに価値をもたらさない大きな投資を行う余裕がないこともわかっています。

そのため、リチウムイオン（Li-ion）バッテリー技術は、施設清掃産業で広く関心と興味が寄せられています。自動車から携帯電話に至るまで、さまざまな用途ですでに実証されているリチウムイオンバッテリーは、フロア清掃機の新しい電源として大きな可能性を持っています。リチウムイオンバッテリーは、稼働時間と生産性を向上させ、運用コストを削減し、所有コストも経時的に削減されることから、即時に大幅な利益をもたらします。

急速に成長するこのテクノロジーには、多くの疑問や誤解がまだ存在します。しかし、ますます多くの清掃マシンがリチウムイオン技術に切り替わるにつれ、実世界では他と比較した場合の数々のメリットが証明されてきています。さらに、リチウムイオン技術に切り替えるメリットを最大化させる購入上の意思決定を導く一連のベストプラクティスも形作られてきています。

リチウムイオン技術のアプリケーションの拡大

専門家たちは、今後もリチウムイオン技術が急速な拡大を続けていくとみています。世界のリチウムイオン市場は、今後5年間で年間11%以上の成長が見込まれています¹。これは次の主な業界によって先導されています。

自動車メーカー：現在、最先端のハイブリッド車の多くはリチウムイオンバッテリー技術を使用しています。さらに、このリチウムイオン駆動型車両は、環境に優しいという利点を重視する消費者たちの間で人気が高まっています。
ゴルフカートとATV：リチウムイオンバッテリーは、ゴルフカートやオフロード車両市場の鉛酸バッテリーに取って代わっています。このような車両を業務用途で所有している方々は、リチウムイオンバッテリーに切り替えることで、車両の稼働時間を増加させながら、人件費とメンテナンスコストを削減できることを認識するようになってきています。
公共交通機関：自治体はバスをリチウムイオン電源に変換し始めており、これによってメンテナンスコストを削減し、環境への影響を軽減しています。
マテリアル・ハンドリング： 産業および商用倉庫業務では、リチウムイオン技術を搭載したフォークリフトやパレットジャックの使用が増加しています。実際、2028年までにすべての電動フォークトラックのほぼ半数がリチウムイオンバッテリーで駆動されるようになる予定です²。
フロアケア：現在、複数のフロアケア機器メーカーが、リチウムイオン技術を搭載したスクラバーとスイーパーを販売しています。

¹Lithium Ion Battery Market Value to Hit $73 Billion by 2025: Global Market Insights, Inc., https://www.prnewswire.com/news-releases/lithium-ion-battery-market-value-to-hit-73-billion-by-2025-global-market-insights-inc-300879782.html

² Global Forklift Market - 2020, https://www.interactanalysis.com/the-global-forklift-market-2020/

リチウムイオン技術の実世界でのメリットを理解する

リチウムイオン技術は、フロアケア機器で使用される従来のバッテリー技術（鉛酸）とは根本的なレベルで異なります。そしてもちろん、液体燃料（プロパンやディーゼル、ガスなど）とは全く異なるカテゴリーの電源です。しかし、ほとんどのマシン管理者にとっては、リチウムイオンバッテリー技術のユニークな性質がフロアケア機器で使用された場合にどのようなメリットをもたらすかを理解することが重要で、リチウムイオンバッテリーの仕組みの技術的な詳細についてまで掘り下げることはしていません*。

高性能

リチウムイオン電池はエネルギー密度が高いため、機器のランタイムが長くなり、最大で60%増加します。

効率の向上

リチウムイオンバッテリーは電解液を混合するための過充電を必要としないため、充電時の電力消費が大幅に少なく、鉛酸バッテリーよりも最大で40%速く充電できます。

長寿命

業界最先端のリチウムイオンバッテリーでは、2000回以上の充電サイクル寿命を実現し、従来のバッテリーと比較すると何年も長く使用することができます。

メンテナンスなし

バッテリー駆動型車両は、面倒なエンジンのメンテナンスや燃料の保管といった問題を排除します。リチウムイオンバッテリーは、バッテリーの給水やその他のバッテリーのメンテナンスがなくなり、従来のバッテリー管理プロトコルを一新します。また、リチウムイオンバッテリーは、オポチュニティ充電ができるように設計されています。鉛酸バッテリーとは異なり、リチウムイオン電池ではオポチュニティ充電は損傷や寿命の短縮にはつながりません。

より安全

リチウムイオンバッテリーでは、鉛酸バッテリーのように充電中に発生する危険なバッテリーの酸や煙にオペレーターが曝されることはありません。もちろん、リチウムイオン駆動型マシンは排出がなく、可燃性燃料を現場に保管する必要もありません。

*テナントのリチウムイオンバッテリーの平均製品に基づく統計

リチウムイオン技術のメリットの比較

リチウムイオン燃料と液体燃料（LPG、ディーゼル、ガス）

連続稼働時間：リチウムイオンバッテリーはランタイムが長く、オペレーターが機器を停止させて液体燃料タンク充填や交換をすることがないため、フルシフトでの清掃が可能です。
コスト：リチウムイオンバッテリーは、エンジンのメンテナンスコストだけでなく、燃料や燃料保管のコストも削減します。バッテリー給水を排除することで、オペレーターのコストを削減します。
安全性：リチウムイオン駆動型機器は、著しく低いdBaの騒音レベルで動作するため、オペレーターは周囲の環境をより良く認識することができ、また排気ガスがないため室内の空気質が向上します。施設内で可燃性液体燃料を保管する必要もなく、施設のすべてのユーザーに対して安全上のメリットをもたらします。
持続可能性：リチウムイオンバッテリーへ切り替えることで、再生不可能な天然資源への依存を排除し、二酸化炭素排出量を削減できます。

リチウムイオンバッテリーと鉛酸バッテリーの比較

連続稼働時間：リチウムイオンバッテリーは鉛酸バッテリーよりも最大で40%も速く充電でき、機械のランタイムを最大で60%向上させます。オポチュニティ充電を完全に有効化することで、機器を常時充電された状態にして、清掃の準備を整えることができます。
コスト：バッテリー給水を排除し、オポチュニティ充電をすることで、運用コストを大幅に削減できます。このリチウムイオン電池は、2000回以上の充電サイクル寿命を誇り、複数ある電池を交換するといったコストも削減します。
安全性：リチウムイオンバッテリーは、バッテリーの酸に曝されるリスクを排除し、鉛酸バッテリーの充電中に出るような有害なガスは発生しません。
オペレーターのトレーニング：リチウムイオンバッテリーは、バッテリーのメンテナンスが不要で、オポチュニティ充電が可能です。これにより、オペレーターのトレーニングを大幅に簡素化し、オペレーターの使用ミスや乱用のリスクを低減します。

*テナントのリチウムイオンバッテリーの平均製品に基づく統計

リチウムイオン購入者のための新しいベストプラクティスガイド

施設清掃業界やフロアケア業界では、リチウムイオン技術の可能性について探り始めています。買い手の皆さまのための選択肢は無限にあります。現在、フロアケア機器のメーカー数社がリチウムイオン技術を搭載した機器やリチウムイオン技術と互換性がある機械を提供しています。さらに、サードパーティのバッテリーベンダー各社は、互換性のある機器内で使用可能なリチウムイオンバッテリーを提供しています。

幸いにも、リチウムイオン技術が施設清掃業界で高い価値を持つ動力源として注目を集める中、購入者たちが複数のベンダーや異なる各種アプローチを検討する際に参考になる、一連のベストプラクティスが登場しています。

完全統合型のリチウムイオン技術を選択する

前述のように、既存のフロアケア機器をサードパーティ製のリチウムイオンバッテリーを使って改造することも選択肢の一つです。しかし、統合されていないサードパーティ製のリチウムイオンバッテリーを選択することは、パフォーマンスの向上が制限されてしまい、機器が損傷したり、オペレーターの安全リスクを引き起こす可能性があるというデメリットがあります。例えば、サードパーティ製のリチウムイオンバッテリーの多くが、バッテリー自体にバッテリー放電インジケータ（BDI）があり（BDIを全く備えていないバッテリーもあります）、清掃中のオペレーターからはっきりと確認することができません。従って、オペレーターは機器を停止させて、BDIの確認をおこなう必要があります。もし、充電場所から遠いところでバッテリーが切れてしまうと、立ち往生してしまうリスクもあります。さらに、統合されていないサードパーティ製バッテリーは、機械との通信ができるとは思わない方が妥当です。このことは、安全とは言えない運転条件につながり、機器に損傷を与え、オペレーターを危険に曝す可能性があります。

業界のトップメーカー各社は、BMSとセルモジュールが単一となった凝集型システムとして機能する、機器と完全統合型のリチウムイオンバッテリーを設計しています。完全統合型のリチウムイオンバッテリーソリューションを選択すると、次のようなメリットがあります。

ランタイムの最大化

完全統合型リチウムイオンバッテリーは、リチウムイオンバッテリーがその機器にフィットし、機器独自の電気系オペレーティングシステムと適切に合致するように特別設計されているため、ランタイムが最大化されます。

統合型バッテリー管理システム

完全統合型バッテリーは、バッテリー管理システム（BMS）がバッテリーと機器との間の継続的なリアルタイム通信を保証するインテリジェントなシステムです。完全に統合されたBMSは、危険な動作状態が発生することからユーザーや機器を保護し、もし危険な状態が特定された場合は機器を自動的にシャットダウンします。

シンプルな操作

完全統合型バッテリーでは、オペレーターは、機器の単一キースイッチで本体とバッテリーを同時にオン/オフできます。統合されていないリチウムイオンバッテリーの多くは、機器を起動する前にオペレーターがバッテリーをオンにする必要があります。さらに、非統合型バッテリーでは、バッテリー上にバッテリー放電インジケータ（BDI）があることが多く、一方、統合型バッテリーでは、オペレーターが機器のBDIを通して常に充電状態を見て確認できます。バッテリー放電インジケーターがはっきりと見えるため、オペレーターは清掃を中断することなくリアルタイムでバッテリー寿命を確認できます。

保証サポート

既存の清掃機器にサードパーティ製バッテリーを使用すると、機器メーカーの保証は無効になる場合があります。問題が発生した場合、修理や交換の全費用はマシン管理者が負担することになりかねません。さらに、完全統合型リチウムイオン駆動型システムのサプライヤーであれば、システムのすべてのコンポーネントに関する包括的な知識と経験に基づいて、より信頼性の高いエビデンスベースのサービスとサポートを提供できます。このレベルの保証とサポートを備えた統合型システムを選択することで、リチウムイオン電源に対する投資を守ることができます。

将来を見据えた清掃マシンの競争上の優位性の獲得

施設清掃業界のコアとなる目的は数十年前からほぼ変わっていませんが、ベテランたちは、決して現状維持型の事業にとどまらないものだということを知っています。小さな変更が、清掃パフォーマンス、業務の効率、ビジネスの全体的な健全性に大きな影響を与える可能性があります。大きな技術の変化はほとんどありませんが、リチウムイオンバッテリー技術は、確実に業界を根本的に変革するイノベーションと言えます。リチウムイオン技術は、バッテリーと機械性能のスタンダードを完全に再定義し、バッテリー寿命を大幅に延長し、より長いランタイムでの駆動、連続稼働時間の拡大、マシンパフォーマンスの改善を実現しています。しかし、リチウムイオン技術のメリットは機器だけに留まりません。リチウムイオンバッテリーによってマシンのオペレーターと管理者両者の負担を大幅に軽減します。真のメンテナンスフリー電源であるリチウムイオンバッテリーは、バッテリーの給水や燃料タンクの充填作業を排除し、オポチュニティ充電が可能です。これにより、オペレーターは清掃にもっと多くの時間を費やすことができるようになります。マシン管理者は、今まで悩まされていたオペレーターの充電動作、バッテリー寿命、燃料コスト、バッテリーが使う酸への暴露などの懸念から解放されます。

詳細情報、またはリチウムイオン技術がお客様に適しているかどうかについては、お問い合わせください。

®マークの付いたブランドは、米国およびその他の国で登録されています。TMでマークされたブランドは、適用法の下で登録および保護されていません。